お茶

FOODEX2017 中国茶・台湾茶レポート(前編)

3月7日~3月10日まで、幕張メッセで開催されていた、国際食品・飲料展 FOODEX 2017。
今年はプレス扱いで参加をしてきましたので、中国茶・台湾茶関連のレポートを3回に分けてお伝えします。

今回は規模が拡大

今回のFOODEX 2017は規模が1ホール分拡大し、全部で10ホール。
併催されていた和食産業展およびアジア水産・冷食展まで含めると全部で11ホール(9~11は別棟の北ホール)と、幕張メッセの全ホールを使用するイベントとなりました。

来場者数も主催者発表で82,434人(昨年76,532人)と7.7%の増加だったそうです。

1ホールから5ホールは海外の出展者中心。
6ホールは輸入食品に加え、輸出向け食品のコーナーが設置。
7ホールと8ホールの一部には、ソフトドリンク&アルコール、世界のお茶とコーヒーの展示会など、お茶の愛好家が注目するコーナーも。
9~10ホールには、全国食品博ということで、全国の自治体ごとのブースが展開されていました。

 

中国からの出展者は、ごく僅か

まず、中国からのお茶関連の出展者ですが、今回は非常に寂しい状況となっていました。

会場を歩き回って確認できたところでは、お茶(茶外茶は含まず、カメリア・シネンシスを用いたもの)をメインとして出展していたブースは僅かに2ブース(うち1つは11ホールの別イベント)のみ。
他に2ブースほど出ていましたが、こちらは乾燥キノコやトウモロコシなどの別の食材を扱う傍らに少し、という程度でした。

2006年のポジティブリスト採用以降、「農薬の基準が違うから、輸出は難しそう」と手控えるスタンスは以前からありました。
が、ここまで来ると、日本は市場としての魅力に乏しいと映っているのだろうと思います。

考えてみれば、ある程度の量をまとまって購入してくれそうなのは、ペットボトル飲料を生産しているメーカーぐらい。
そして、それらはほぼ寡占化しており、取引先が決まっているので、このような商談会にコストをかけて出てきても開拓は難しいでしょう。

一方、高級なお茶の市場ということになると、日本には十分なマーケットボリュームがありません。
さらに昨今の中国の人件費上昇による茶価の高騰もあり、著名な名茶は、現地でも1斤500元以上。1000元を超えるお茶も、まったく珍しくない状態です。
こうした価格帯のお茶を購入し、消費するというのは、現在の日本の経済状況、またマーケットの厚みを考えると厳しいと言わざるを得ません。
中国国内のマーケット開拓に勤しんだほうが、リターンは大きいと判断しているのでしょう。

中国茶ファンとしては非常に寂しいところですが、経営的に見れば当然の判断であり、致し方ないところだと思います。
地道に日本のマーケットを大きくして、魅力的な市場だと思ってもらうしかありません。

そんな状況の中でも、頑張って出展してきてくれたブースをご紹介したいと思います。

 

興国益香園茶業有限公司

江西省贛州市にある興国県の茶業さんです。
「方太妹」という商標を用いており、これは昨年、江西省の著名商標にもなったとのことです。
ここでは、背面のパネルに写真が載っている社長さんから、かなりじっくりお話を伺うことができました。

こちらでは2009年10月に、農家が共同出資をする形の茶葉栽培を行う合作社(組合)を作りました。
そして、海抜800mほどの方太郷というところにある山を切り拓いて、新たに茶園をつくっているそうです。
完全な有機栽培とのことですが、JAS認証は通っていないので、中国ローカルの有機です。
全て有機認証の茶畑で、1500畝(約100ヘクタール)ほどの広さがあるそうです。
東京ディズニーリゾートのシーとランドを足したぐらいでしょうか。
結構、大規模ですが、中国の中では小さい方です。

まだ茶樹の年齢が幼く、生産量が確保できていないので、まずはブランドの認知を高めたい、ということのようです。
直営のお店も、興国県の県城(県庁所在地)に最近オープンしたばかり。
ネット販売は淘宝に出店しているそうです。 方太妹茶叶品牌店

こちらで生産しているのは、緑茶と紅茶、それから白茶と黄茶とのこと。
きちんと聞いてみると、白茶は安吉白茶の品種を、黄茶は黄金芽という黄色白化品種を導入しているそうです。
要するに製法的には緑茶なのですが、品種的にアミノ酸の多い白茶品種と黄茶品種を使っているパターンです。

緑茶、白茶、黄茶の3種を飲ませていただきましたが、やはり、黄茶の美味しさはずば抜けていました。

ただ、この黄金芽という品種、非常にデリケートな性質のお茶のようで、栽培は大変だとか。
そのため、価格もかなり高額だったのですが、話を聞くとやむを得ないかな、と。
白茶も高いですが、それの倍しますので。なかなか日本の方は手が出ないと思います(^^;)
社長さんは、「非常に環境の良いところ」という話を何度も強調されていたのですが、これは本当のようで、土壌もしっかりしているのが味からも伝わってきました。
製茶も、かなり丁寧にやられており、真面目な社長さんの姿勢が伝わってきます。

「日本には初めて来た」とのことですが、非常に街が綺麗で素晴らしい、とおっしゃっていました。
とても真っ直ぐで良い方なので、ぜひ成功して欲しいと感じる茶業さんでした。

「贛州まで来てくれたら、茶園を案内するから」と仰っていただいたので、一度お邪魔してみたいですね。
※上海から贛州市は飛行機で2時間。空港から興国県までは2時間以上かかるようです。奥さんは、「上海から飛行機で1時間、空港からも1時間」と言ってたんですがw

 

河南山野老泉茶葉有限公司

中国ブースにあった茶葉の会社なのですが、今回はシイタケやキノコの商談をメインで来たようです。

河南省南陽市にある桐柏県の会社です。
「お茶は無いの?」と聞いてみると、緑茶と紅茶を試飲させてくれました。
味は悪くはないのですが、担当の方の興味はあまりお茶を売り込むことには無いようで。
むしろ、「抹茶に興味がある。中国国内では抹茶の消費が伸びているので、日本の機械を検討したいんだ。どこか知らないか?」と逆に聞かれましたw

ある意味、賢明な出展者さんだと思います。

このほか、山東省の諸城市の会社が茶葉も扱っているような掲示を出していたので聞いてみたのですが、今回はお茶を持ってきていないとのこと。
やはり、お茶はやる気が無いようですね(^^;)

婺源県華源茶業有限責任公司

厳密にはFOODEXではないのですが、11ホールに出展していた茶業さんです。

江西省上饒市にある婺源県。安徽省や浙江省に近い側です。
婺源県は、中国で最も美しい村(中国最美的乡村)とも言われていて、茶業も盛んなところです。

緑茶、紅茶がメイン商材のようですが、固形になった白茶に烏龍茶、黒烏龍茶!まで展示してありました。
展示されていた烏龍茶は、かなり枝まで含まれていて、見よう見真似で作った感が出ていましたが(^^;)

どうもお茶は売れないと判断したのか、ここはとにかく菊花茶を推していたようでした。
ブースの展示にもそれがよく見られると思います。

確かに菊の花はかなり美味しいもので、品質は良さそうでした。
さすが”中国で最も美しい村”だと思います。

個人的には、チャノキのお茶を飲みたかったんですが(^^;)

中国からの出展者は概ね、このような状況でした。
非常に寂しい限りでした。

ところが、回っていた方から、シンガポールのブースにプーアル茶を出しているところがあると聞きつけ、急行しました。

Teaspec

シンガポールのお茶屋さんのようです。
プーアル茶を雲南から輸入し、独自のパッケージで販売されています。
この代理店を求めている、ということのようです。

試飲させてもらったお茶は、生茶でしたが、クセもなくなかなか飲みやすい品質。
あとはシンガポールを経由する価値があるかどうかですが・・・

色々質問をしてみようかと思いましたが、中国語脳になっていたので、とっさには英語が出て来ず。
通訳の方に、ちょっと聞いてみたところ、通訳の方は中国語で翻訳して聞いてました。
ああ、中国語で通じるんだったら、直接聞いたのに・・・と思いました(^^;)

 

続く。

 

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もはや日本は魅力の無い市場のようです(^^;)

 

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