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中国茶基礎講座、始めます

セミナーの案内を久しくしていなかったのですが、新しい講座を11月から始めることになりました。
中国茶が初めての方やあまり詳しくない方にも参加いただきやすい内容なので、こちらでも告知します。

無理なく学べる中国茶の基礎講座を

これまでは、「世の中には初心者向けの講座が多いだろう」という観点から、ちょっとマニアックな講座を中心に行ってきました。

が、最近は「初心者なんですが、ちゃんと勉強したいです」という方に、参加者の方の裾野が広がってきました。
そうなると若干、講座の内容とギャップが出てきてしまいます。

さらに、巷の入門講座の様子を聞いていると、20年ぐらい前の中国茶ブームの時から、教える方法・内容があまり進歩していないようにも感じます。
産地に直接行く方が増えてきたりして、専門的な情報はかなり増えてきたと思うのですが、肝心の入口の部分はあまり変わっていないんじゃないか、と。
昨今、現地に足繁く通われているお店の方は発信している専門的な情報と、現状の入門講座や入門書の情報が上手く繋がっていないように感じます。

最大の問題は、きちんとした日本語のテキストが無いことです。
客観的に見たら、今の中国茶、とても勉強しづらい環境だと思います。

もっとも、現状の批判ばかりしていても仕方がありません。
私は批評家でも評論家でもないので、間尺に合うものが無いのであれば、自分で作るしかありません。
初めての方でも、無理なく中国茶の基礎が学べるような講座を。

この時期になったのは、私自身も色々なしがらみもなくなり、やりやすい環境が整ったということもあります。

「お店でお茶を選ぶことができ、自分で美味しく淹れられる」をゴールに

どんな勉強もそうですが、目的や求める水準(ゴール)を明確に設定することで、そこへ最短でたどり着く道筋が見えてきます。
今回は「基礎講座」という名前にし、目的とゴールを以下のように設定しました。

目的:嗜好品としての上質な中国茶の世界を紹介する
ゴール:お店でお茶を選ぶことができ、自分で美味しく淹れられる

内容はひたすら実用的にしました。
「歴史や文化についての蘊蓄を語れるようにする」とか「中国茶席でおもてなしができる」というようなことは、残念ながらありません。
”お茶を買って、淹れて、飲む”という点にだけ絞った講座です。潔いぐらいにシンプル。
中国茶の世界は、あまりに広すぎるので、このくらいシンプルに絞った方が、より分かりやすく伝えられると思います。

”嗜好品としてのお茶”を追求

まず、目的の「嗜好品としての上質な中国茶の世界を紹介する」ですが、ここは講座の性質を決める上で、かなり重要なところです。
お茶には、毎日飲む飲料という「日用品」の側面と趣味性の高い「嗜好品」の側面があります。
このうちの「嗜好品」の側面を追いかける講座にしますよ、ということです。

言い換えると、高級ワインやスペシャリティーコーヒーのような、ワンランク上の”嗜好品”として、中国茶を捉えるということです。
スーパーマーケットなどで販売している特売品のようなお茶は対象にはなりませんし、健康を目的に飲むような健康茶も対象にはしません。

では、高いお茶ばかりなのか?というと、そうでもありません。
一定のクオリティーを超えていれば、お手ごろ価格でも十分に美味しいお茶はあります。
名前だけが有名で割高なお茶を追い求めるよりも、コストパフォーマンスに優れたお茶を追いかけるのであれば、ある程度の知識と経験が必要です。
自分の好みが分かっていて、さらにお茶のコストがどこでかかるのかを熟知していれば、お買い得なお茶は必ず見つかります。

他の嗜好飲料でもそうですが、高級ワインやスペシャリティーコーヒーに詳しい方ほど、本当の意味でのコスパの良い商品を見分けることが出来ます。
一番、損をしがちなのは、銘柄の名前だけを宣伝で教育されたり、本などで聞きかじった消費者だったりします。
生兵法は大怪我のもとであり、何事も本質の部分を学んでおけば、宣伝などに左右されない商品選びが出来るはずです。
そういうスマートな飲み手・中国茶愛好家を目指す講座です。

知識と経験があると、専門店は楽しい

次に、ゴールの「お店でお茶を選ぶことができ、自分で美味しく淹れられる」です。

まず、「お店で」というのが重要です。
「農家で直に買う」というのは知識と経験が桁違いで必要になるので、講座でお伝えするのは無理です。

信頼の置ける専門店の方が選んだお茶であれば、値段に見合ったクオリティーは確実にあるはずです。
「その中から、実際に商品を選ぶのは簡単ではないか。そんなものは教える必要は無いだろう」と思われるかもしれません。
が、実際に専門店に入って行くと、「お茶の名前や説明書きに書いてあることが、良く分からない」という壁にぶつかることは良くあります(実際、私がそうでした)。
店員さんから「どのようなお茶がお好みですか?」と聞かれても、「そもそも自分の好みが把握できていない(その経験値が無い)」ということも多くあります。
こうしたことは、嗜好品の世界では良くある話です。
あまり詳しくない段階だと専門店に「なんか怖い」というイメージを持ってしまいがちなんですね(私がコミュ力不足なだけかもしれませんけど)

でも、自分の好みを把握した上で、さまざまな専門用語の意味を理解していれば、お店でお茶を選ぶことは、怖くもなんともありません。
むしろ、店員さんと会話しながらお茶を選んだり、ネットショップさんの説明書きから透けるこだわりを見ることは、本当に楽しいものになるはずです。
まさに趣味の楽しみです。

その水準に到達するには、一定程度の知識と経験が必要となります。
この講座ではゴールをそこに置き、それにできるだけ短期間で到達することを目指す、というわけです。
これによって好みでないお茶を買ってしまったり、余分な買い物をしてしまったりという、”授業料”を減らすことができるかもしれません。

茶藝でなくても、お茶は美味しく淹れられる

「お茶を選んで買うこと」と同じように大事なのが「自分で美味しく淹れられる」というスキルです。
お茶は、茶葉を買っただけでは半製品のようなものであり、「淹れる」という作業を行わなければ、飲むことができません。

慣れてしまえば、お茶を淹れることは、全く難しいことではありません。
が、初めて中国茶に触れる方にとっては、非常に難しく感じられるものだと思います。

最初はお茶の味わいの特徴をきちんと見ていただけるよう、こちらで淹れたお茶を飲んでいただきます。
実際に淹れている様子を見ていただきながら、自分で淹れるイメージ付けをしたのちに、実際に茶器に触れて、淹れてみます。
淹れたお茶がどのような香り、味になるのかは、淹れ方に起因している場合が多いので、そのアドバイスも行います。

お茶を美味しく淹れる上では、さまざまなテクニックがあります。
そのテクニックは、科学的な理由から説明できることがほとんどで、それはさまざまなお茶に応用できるものです。
そうしたお茶の淹れ方のコツやポイントを、ギュッと濃縮してお伝えします。

「美味しい中国茶の淹れ方を学ぶには、茶藝を学ばねばならないのだ」という話もありますが、この講座では茶藝はしません。
茶藝の場合は”どう美しく淹れるか”という部分を追求する面もあり、そうなると、美味しく淹れると両立しないこともあります。
また、ややもすると作法や礼儀など、美味しく淹れるという部分とは関係の無い話にまで飛ぶことがあります。
「別に人前で披露するわけでもなく、自宅で美味しく淹れて飲めれば良い」と考える人にとっては、このような部分はノイズのようなものです。
そのあたりをばっさりカットすれば、最短で学ぶことができるでしょうし、よくある流派間の違いなどの問題も避けることができます。

”お茶を選んで、手軽に楽しく飲む”という実用講座

あくまで「上質なお茶を、美味しく飲みたい。できれば、手軽に」を目指しています。
とにかく実用的な講座です。実用以外ありません。

「さまざまな中国茶を飲むこと」を「どこかの街を旅する」ことに喩えてみると、この講座で学べることは、より分かりやすいかもしれません。
この講座でやることは、”地下鉄やバスの乗り方を覚え”、”主要な地名や簡単な言葉(数字のは発音など)を覚える”という作業をしていることです。
いわば、「中国茶の世界を一人で訪ね歩けるようにする」というのが、講座の第一義の目的です。
もちろん、講座を通じて、同じ程度の知識・経験を持つ旅仲間が増えるかもしれません。

全10回で60種類のお茶を飲む

そのような基礎をどのようにして学んでいくか?ですが、お茶は飲み物であるので、まずは飲まなければ意味がないと思います。
”百聞は一見にしかず”ならぬ”百聞は一飲にしかず”です。

「飲めば良い」と言っても、飲み散らかすような飲み方では、身になりません。
それぞれのお茶の製法や特徴を説明を受けながら飲んで確認し、自分自身の舌に味と香りを覚え込ませ、記憶にストックしていく必要があります。

ある程度の経験を積んでいると、一度に何十種類のお茶を飲んでも整理・ストックができるのですが、初学者の方は、おそらく2時間で6種類程度が限界ではないかと思います。
この講座では、毎回6種類の違うお茶をしっかりと飲んでいただきます。

講座は全10回ですから、一通り参加すれば、60種類の異なるお茶を飲んだことになります。
60種類のお茶の味と香りがインプットされていれば、お茶の味わいや香りについての語彙も増えると思います。
たとえば、「このお茶は○○茶に似た味わいです」と言われると、好みかどうかの判断がつくようにもなります。

この経験がベースとしてあれば、専門店さんに行っても、共通の引き出しがあるわけですから、困ることはないでしょう。
「本で読んだことがある」「名前を知っている」と「飲んだことがある」の間には、非常に大きな差があるわけです。

烏龍茶は厚めに。独自理論は唱えない

この講座は、あくまで日本における”中国茶の基礎”です。
そのため、日本で入手しやすく、人気のお茶である”烏龍茶”については、少し回を多く割き、詳しめに解説します。
烏龍茶については日本のお茶屋さんで出回っている情報がかなり細かいので、それに対応した情報量を提供しておかないと、日本のお茶屋さんでお茶を選べないからです。

そのようなローカライズはしますが、基本的には中国の「標準」などに記述されている、中国で学術的に確立された内容をベースにしています。
基本的に独自理論を唱えたり、独自の用語を用いたりはしません。
そのため、将来的に「茶藝師をとりたい」「評茶員をとりたい」となっても、基礎知識として活用できると思います。
このようなスタンスで、まさに”中国茶の基礎”を作りたいと思っています。

ただし、「基礎」といっても、結構専門的な内容もやります。
ワインやコーヒーなど、他の嗜好飲料の入門書を読んでいただくと分かるのですが、平易な本であっても、成分や製法などの化学的な部分からは逃げないんですよね。
今までの中国茶の世界では、文系の人が携わることが多いからか、こうした科学的な部分がきわめて薄く、怪しげな俗説や物語頼みのところが多めでした。
そこは刷新しなければいけない部分だと思っているので、基礎講座という名前ではありますが、下手なインストラクター講座より部分的には高度かもしれません。
でも、このくらいが基礎であって欲しいと思いますし、他の嗜好飲料と同じような土俵に立つためには、必要だと思います。
その代わり、歴史などは薄めにしています(テキストには最低限のことは書きますが)。
ゴールから考えると、それはあまり必要無いからです。

2019年11月スタート。レギュラー化前提です

当初は年明けから・・・と思っていましたが、「早くやって欲しい」という声もあったので、来月、東京からスタートすることにしました。
さらに年明けからは大阪、東京の2クール目も並行スタートする予定です。

この講座は「基礎講座」なので、何度も繰り返し実施する予定です。
「出ている日程で、この回は参加ができない・・・」という場合でも、何ヶ月かに1回は回ってくると思いますし、受ける順番が前後しても問題無い構成にするので、別の機会に参加いただければ完結すると思います。

将来的にはテキストを冊子化し、講座の受講経験のある方に、各地で同じような講座を開いていただこうかとも考えています。
日本のどこでも同じような水準の講座が学べる・・・という感じになれば、大分違うと思うんですよね。
#一応、そのあたりも見越した講座の価格設定にしています。日本の茶業者さんとも連携する必要があるので。

日程や詳細は、こちら から確認ください。

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