中国で中国茶ブランドを立ち上げた日本人の本
昨年の9月末に中国茶に関する本が出版されました。
本当は昨年のエコ茶会の前に紹介したかったのですが(ご本人がいらしてたので)、バタバタしていて遅くなりましたm(_ _)m
この本は、中国の広州・上海を拠点に、中国茶ブランド「大高勇気茶」を立ち上げている大高勇気さんの本です。
ここ数年、エコ茶会の入口付近にお店を出しているので、ご存じの方も多いかもしれません。
まず初めにお断りしておきます。
この本は、書籍のジャンルとしては、いわゆる”社長本”です。
ですので、「中国茶の基礎を勉強したい!」というような用途には全く向きません。
ただ、
・中国茶のバイヤーは現地でどんな仕事をしているか?
・お茶の生産に取り組んでいる茶農家のリアルな話
・中国茶をビジネスにするにはどういう苦労があるか?
・中国でビジネスを立ち上げて、大きくして行くにはどうしたら良いか?
というようなことを知りたいのであれば、大変有益な本では無いかと思います。というよりも、この本しかありません。
大都市の茶葉市場で、ショッピング感覚で仕入れる「仕入れ」では無く、農家に直接買い付けに行って仕入れるというのは、ハードルが全く違います。
そのあたりのリアルな話を知りたい方だったり、実際行ったことがある方にとっては、「そうそう!」と共感できることも多数ある本だと思います。
序盤の章に溢れる思い
ご本人に会ったことがあったり、お店のWebサイトやブログ、メールマガジンなどを読んでいる方は、ご存じかと思いますが、著者の大高さん、とにかく熱い方です。
個人的には、”中国茶界の松岡修造”では無いかと思います。
そのようになった経緯が、本書の「はじめに」の部分だったり、第1章の「愛すべき『中国茶』との出会い」のところに書かれています。
さらに、第2章の「人生を教えてくれた農家の方々の言葉」などは、土と共に生きている一途な中国の茶農家さんの思いに素直に共感をし、賛同を示す大高さんの思いが滲み出ている章です。
第3章の「中国茶ビジネスの魅力と難しさ」のところは、お店をやっている方なら共感される部分が非常に多いところだと思いますし、今後、何らかの中国茶に関わるビジネスを考えている方には、勇気づけられる章かもしれません。
第4章の「中国茶のファンを増やす!」というところは、日本国内で何らかの形で中国茶を広めたいな、と思っている方だったり、何らかの活動をされている方にとっては、ヒントになることもあるかもしれません。
後半では、中国ビジネスのリアルさも
第5章からは、中国でのビジネス展開を行っていく上でのお話が中心です。
中国でのビジネスという部分について関心がある方だったり、急成長を遂げている現地のお茶ビジネスのスピード感を知るには、まさに活きた教材だと思います。
付録には、中国でビジネスを行っていく上での社員との接し方なども載っているので、ビジネスマンの方にも役に立つ点もあるかもしれません。
まあ、一点気になることを挙げるとすれば、帯に書かれている「中国茶のバイヤーとして、成功を収めた1人の日本人」というキャッチでしょうか。
おそらく、出版社(この会社は、社長本を多く出す会社です)の意向で付けられたものだと思いますが、多分、著者の大高さんも本意では無いでしょう。
年齢的な面から見ても、まだまだ成功というよりは、走り始めたばかり、という感覚だと思いますので。
社長本なので、どうしてもそういう面があることは、頭に入れた上で読んでいただくと良いと思います。
『中国茶の魅力を日本へ!そして世界へ!』
著者:大髙 勇気
出版:カナリアコミュニケーションズ
発売:2019年9月30日
ISBN:978-4778204587
定価:1,400円+税
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