お茶

中国茶の世界にようこそ2019(3)簡単なお茶の淹れ方と茶器

前回の続きです。美味しいお茶が買えたとして、簡単に淹れる方法と茶器について、ご紹介していきます。

(1)中国茶の全体像
(2)様々な名茶と買えるところ
(3)簡単なお茶の淹れ方と茶器 ← Here

中国茶を淹れることが難しく思えてしまう理由

中国茶というと、冒頭の写真のようなしつらえをイメージし、

見慣れない器が、たくさんあって
お湯をあっちに移して、こっちに移して・・・
なんだか面倒そう
道具を揃えるのも大変そう。。。

という印象をお持ちの方も、結構いらっしゃるのではないかと思います。
まずは、この印象を一度リセットしましょう。

冒頭の写真のようなお茶の淹れ方は、烏龍茶をよく飲む地域などで行われている、工夫茶(くふうちゃ・コンフーちゃ)という淹れ方です。
「工夫」の意味は、「手間を掛ける」という意味です。

この淹れ方をする理由は、この方が美味しく入る、というのが第一義なんですが、
「お客さんを歓迎してますよ!だってこんなに手間かけてお茶淹れてあげてるんだから」
という、一種のおもてなしの気持ちの表明的な意味合いもあります。

もっとも、これが日常になっている地域の方にとっては、意味合いなどを考えるまでもなく、至極日常の光景です。
習慣ってそういうものです。面倒な作業でも、いちいち理由は考えません。

が、我々、日本人の中国茶初心者にとっては、まったくもって日常ではありません。
そもそも、急須の無い家もあるでしょう(←我が家にも、中国茶を飲み始めるまでは、ありませんでした)。
そこから、機材を一式揃えて・・・となると大変です。
いや、形から入るというのも、趣味として考えれば、アリはアリですが。

中国の高級茶館での高級緑茶の淹れ方

上記の淹れ方は烏龍茶の淹れ方なのですが、緑茶はどう淹れているのでしょうか?
浙江省杭州市の風光明媚な湖・西湖。
そのほとりに佇む、湖畔居という高級茶館があります。

お茶一杯、1人最低180元(約3000円。お茶請け付き)ということで、現地でも敷居がそれなりに高い茶館です。
当然、正統なお茶の提供の仕方をしてくれるお店です。

このお店で、新茶の緑茶を頼んでみると、こんな感じで出てきます。

ロックグラスに茶葉を入れお湯を注ぐだけ

お茶請けの方が目立ってますが、手前のお茶にご注目を。
茶器は、まさかの「ガラスコップのみ」です。
さすがに、そこそこ良いグラスであることは間違いないのですが、高級茶館でも緑茶の正式な提供の仕方が、これなんです。

初めに、お店の茶藝師(お茶をサーブするプロフェッショナル)の方が、茶葉をお湯に馴染ませ、1煎目のお湯を注ぐところまではやってくれます。
最初のうちは、茶葉が浮いていますが、それはフーフーしながら除けて飲みます。
しばらくすると沈むので、上澄み部分を飲んでいく感じです。

1煎目のお湯を差した後は、基本的には放置で、傍らに保温ポットに入ったお湯が置かれていますから、客がそれを足し湯しながら飲んでいきます(飲み切らず、3分の1ぐらいになったら差し湯するのが美味しく飲むポイントです)。

こんな感じで、高級な中国緑茶を飲むのに、余計なものは全く要らないのです。
グラスと茶葉とお湯だけ。とってもシンプルです。

もちろん、これが成立する理由は、いくつかあります。

1.高級な中国茶は、茶葉の姿を愛でて楽しむものであること(ガラスだと全て見える)
2.中国緑茶は日本の緑茶のように揉み込みがきつくないため、味わいがゆっくり出ること(濃くなったら差し湯し、薄めながら飲み続ける)
3.上質なお茶なので、渋みが少ない(漬けっぱなしにしていても渋みが出ないのは高級茶の特徴)

まさに中国茶ならではの飲み方なんですね。
主に新芽の部分を多く使った、緑茶や白茶(白毫銀針など)、黄茶などは、この淹れ方で美味しく飲めると思います。

茶葉の量は、もりもりに見えますが、実際は乾燥重量で1g程度だと思います。
これだけの茶葉量でも、大体1リットル。時間にして、2時間は十分にお茶の味わいを楽しむことができました。

お茶請けがあるとはいえ、1gで3000円というと、「何の末端価格だ・・・」という金額です。
が、そのぐらいの僅かな茶葉量でも、高級中国緑茶は十分に満足させてくれるのです。
「日本茶の相場観は忘れてください」というのは、このへんに理由があります(日本茶の急須では1回5gぐらい使うので)。

このスタイルで行けるのは、緑茶だけではない

基本的に中国の方は、お茶の渋みを嫌います。
ゆえに高級なお茶になればなるほど、紅茶でも烏龍茶でも、渋みは少なめになる傾向があります(※一部を除く)。

そのためか「うちはお茶の品質に自信がある!」というお店や農家に行くと、緑茶以外もグラスや器に漬けっぱなしのスタイルで出てきたりします。
手間がかからないってのも、もちろんあると思いますけど。

浙江省杭州の九曲紅梅(紅茶)もグラスで試飲

茶農家出身のお茶屋さんにて、梨山烏龍茶を碗泡で

お店でもこういう淹れ方をするぐらいなので、茶葉の量を加減していれば、時間を長く漬けっぱなしてしまって失敗・・・というのは、比較的少ないのですね。
黒茶や味わいの濃い烏龍茶では、それもありますけど。

このように、ある程度、品質の高い中国茶であれば、お茶淹れの失敗の確率はさほど高くありません。
まずは、この点を確認しておきたいと思います。
中国茶の淹れ方は、そうは難しくはない。ざっくりしている、ということですね。

お茶を”淹れる”とは、どういう作業か?

お茶を淹れるのは難しいというイメージ、変わったでしょうか?

ここからは本編として、お茶を淹れる際の原理原則となる部分を紹介していきたいと思います。
難しくはないんですけど、より美味しく淹れるのには、やっぱりコツがあります。
どぶ漬けでも飲めることは飲めるんですが、せっかくだったら美味しさを極力引き出したいですよね。

まず、お茶を淹れるというのは、非常に情緒の無い表現をしてしまえば、

茶葉に含まれている成分をお湯(水)に溶かし込む作業

と言えると思います。
・・・うーん、こう書くと、本当に情緒がありませんねぇ(^^;)

この理屈で行くと、美味しく淹れるというのは、

お茶の持つ美味しい成分(旨みや香り)をより多く溶かし込み、美味しくない成分(苦みや渋み)を出来るだけ溶かし込まないようにすること

と言い換えることが出来ると思います。

お茶の淹れ方を左右する要素

成分をどのように溶かし込むかという話になれば、これは茶道にありがちな精神論とかではなくて、一種のサイエンス(科学)です。

その観点から見ると、お茶の味わいを左右する「変数」となる要素があります。
同一品質のお茶を自宅の水で淹れるとするならば、基本的な変数となる項目を列挙するとこんな感じです。

・淹れる器(特に材質)
・茶葉の量
・お湯の量
・お湯の温度

淹れる器は、お茶によって異なり、器の大きさによって必要な茶葉量やお湯の量も異なります。
それについては、後で。

大切なのは、お湯の温度

これらの要素のうち、中国茶初心者の方が失敗しやすい要素があります。
それは、お湯の温度 です。

中国茶は香りが命なのですが、「香り」というのは温度が高ければ高いほど、香り立ちが良くなります。
反面、お湯の温度が高ければ高いほど、お茶の「渋み」は出やすくなります。
お茶の味を語る上で欠かせないもう一つの要素である、「旨み」は温度は関係なく、むしろ時間を長く置くことで出てきます。

お湯の温度とお茶から引き出される成分の関係を、ざっくりと図示すると、こんな感じです。

湯温 低 ← → 高
旨み 影響小
(時間をかければ出る)
影響小
(時間をかければ出る)
渋み 出にくい 出やすい
香り 出にくい 出やすい

このことから、たとえば旨みを極力引き出したいが、渋みは避けたい玉露などは、非常に低い温度(50℃程度)で長い時間を置いて淹れたりします。
日本の高級な煎茶も、旨みを十分に引き出すために、ぬるめのお湯で淹れることを勧められます。

この感覚を中国茶に持ち込んでしまい、「高級茶だから低温で淹れよう・・・」とすると、「全く味や香りが出ない」ということになります。
なぜなら、中国茶は香りが命のものが多いので、その香りを引き出すためには、できるだけ高温(少なくとも80℃以上)で淹れる必要があるからです。

「でも、高温になると渋みが出やすくなるのでは?」という疑問が出てきます。
が、中国緑茶の場合は、日本の煎茶のように揉み込みがきつくないため、成分がゆっくり出るので、多少高温でも渋くはならないのです。
※それでも繊細な新芽部分を使用したお茶は、温度が高すぎると雑味が出やすくなるため、85℃程度に抑える方が上手く行きます。

特に香りが命の烏龍茶は、お湯の温度が大変重要です。
温度が5度違えば、香り立ちは全く異なるお茶になってしまいます。
そのため、アツアツのお湯で淹れることが原則になります。

この点については、テーブルの上に常に熱々のお湯が用意できるので、電気ケトルに投資するのも悪くないと思います。
温度表示が出来るものなど、高機能なものもありますが、安いものでも構いません。
熱いお湯であることが、まず大事です。

ラッセルホブス カフェケトル 0.8L マットブラック 7408JP-88

ティファール 電気ケトル 0.8L アプレシア エージー・プラス コントロール パールホワイト KO6201JP


ステンレスケトル「マキアート」0.8L/62-3780-19

器の予熱

湯温は、注ぐお湯の温度が高いことももちろんですが、器の温度も重要です。
とくに冬場など、器が冷え切っている状態で注ぐと、器にお湯の熱が奪われ、急激に湯温が下がってしまいます。

そこで、特に烏龍茶や紅茶、黒茶など、高温を必要とするお茶を淹れる場合は、事前にお湯を入れて、予熱しておきます。
こうすることで、器に奪われる熱の量を少なくし、高温を維持することができます。

中国茶の淹れ方などで、お湯を捨てる作業が出てくることがありますが、その多くはこの温め作業を行うものです。
面倒そうに思えますが、このひと手間が美味しさに繋がるのです。

ここまでが、お茶を淹れる際の原理原則になる部分です。

グラスを使う(緑茶、白茶、黄茶にオススメ)

まず、一番手軽なグラスで淹れる方法です。
特に、ずっと漬けておいても渋みの出にくい、緑茶、白茶、黄茶(特に芽の部分を多く使ったもの)にオススメです。

グラスの選び方

グラスは、ご自宅にある普通のもので構いません。
ガラスは急激な温度差に弱いので、耐熱のコップがあれば、なお良いです。

容量は200cc~250ccぐらいのものが使いやすいと思います。
大きなものになればなるほど、必要な茶葉の量が増えます。
何煎も効くという中国茶の特性を考えると、何度も差し湯しながら飲む方が、エコで節約になるかと。
白毫銀針や君山銀針のような茶葉の浮き沈みが見られるものや、太平猴魁のような大ぶりなものにはトールグラスが良いかもしれません。

形はストレートや口がすぼまっているものの方が、香りが分かりやすいと思います。
あるいは、ホットウイスキーを飲むようなマグ状のグラスだったり、ダブルウォールだったりすると、熱くなくて良いかもです。
丈夫さや手軽さを優先して、デュラレックスでも構いません。
参考にうちで使っているのを。

HARIO (ハリオ) 香り マグカップ 330ml HKM-1T

DURALEX(デュラレックス) ピカルディー(1027A B06) 250ml 0117-015

淹れ方

龍井茶など、一般的なお茶については、グラスの底がうっすら隠れるぐらいに茶葉を入れます。
おそらく、量にすると、1gも要らないと思います。
味が薄いと感じたら増やすようにしましょう。

お湯の温度は、香り優先であれば熱湯で構いません。
甘みや旨みを優先したい場合は、温度を少し下げます。それでも80℃以下にはしない方が良いように思います。
渋みが強いようであれば、温度が高い可能性があるので、低くします。

その後、茶葉全体が浸かるぐらい、少量のお湯を入れます。
少しグラスを回して、お湯と茶葉を馴染ませます。
このとき、お湯を注いだことによって、茶葉の香りがフワッと出て来ると思います。
グラスを鼻に近づけて、その香りを楽しみましょう。

お茶とお湯が少し馴染んだら、お湯をまずはグラスの半分ぐらいまで注ぎます。
茶葉が3分の1ぐらい沈んできたら、浮いている茶葉を除けつつ、少しずつ飲んでいきます。

飲んでいるうちに茶葉が沈んでいきますので、全て飲み切らずに差し湯をして行きます。
この”全て飲み切らない”というのが大変重要です。
「老舗のうなぎ屋さんのタレの要領で」と、私は勝手に呼んでいますが、注ぎ足し注ぎ足しをすることで、美味しさが最後まで長続きします。
※飲み切ってしまうと、最初だけ味わいが濃くて、2煎目以降、ガクンと味が落ちてしまうのです。

あとは味わいがなくなるまで、飲み続けられます。
味が薄くなってきたらお湯の温度を上げてみたり、少し長めに待ってみたりすると、味わいの変化も出てくるでしょう。

中国茶用タンブラーを使う

便利な道具として、中国茶用のタンブラーがあります。

Chattle(チャトル)茶こし付き茶葉専用タンブラー300cc 中国茶・紅茶・日本茶に!(ローズ)

蓋付きの樹脂やガラス製のもので、内側には茶漉しがついているものが多いです。
保温機能は無いのですが、茶葉が口に入ったりしないのと、蓋を閉められるので持ち運びも簡単です。

淹れ方は、グラスの時と同様に、茶葉を投入したら、馴染ませてからお湯を注ぎます。
あとはゴクゴク飲み、お湯が減ってきたら飲み切らないうちに差し湯をする、というイメージです。

また、茶漉しがあることを利用して、急須代わりに使用することも可能です。
きちんと器の予熱をしておけば、烏龍茶などでも手軽に淹れられますので、なかなか利用価値は高いと思います。

なお、マグカップでも大体同じようなことができます。
茶漉し付きのマグカップなどを使うと、烏龍茶なども気軽に飲めるので、こちらもかなり使い勝手が良いです。
烏龍茶などを淹れる場合は、お湯を一度通して、予熱しておくことがポイントです。香りが全然違いますので。

茶こし付きマグカップ 吉祥花 台湾茶器

 

蓋碗を使う(さまざまなお茶にオススメ)

中国茶の茶器としてよく出てくるのが蓋碗(がいわん)という、蓋付きのお碗です。
受け皿と杯、蓋の三点がセットになっているものが多いです。
この器はなかなか便利なものなので、中国茶の愛好家の方がよく使っているものです。

蓋碗は用途としては2種類あり、使う用途によって選ぶべき蓋碗が異なります。
※ここでは、釉薬の掛かった蓋碗を前提にお話しします。

直接飲む杯としての蓋碗

1つは、お茶をそのまま飲むための器としての蓋碗です。
茶葉が漬けっぱなしになるので、緑茶などを飲むために用いられます。

飲み方としては、蓋を少しずらしてお茶が出てくる僅かな隙間を作り、そこから啜るようにして飲みます。
杯の部分をそのまま持つと熱いので、片手で受け皿の部分ごと持ち上げ、反対の手で蓋を操ります。
上手に飲めると非常に優雅に見える飲み方です。

このときに使用される蓋碗は、少し大ぶりのものです。
さらにお茶ができるだけ冷めないよう、少し厚手のものが用いられることが多いです。

直飲み用の蓋碗

淹れ方は、グラスとほぼ同じ要領です。

急須代わりとしての蓋碗

もう1つは、急須代わりとして使う方法です。
茶葉を杯の中に入れてお湯を注ぎ、蓋の隙間から、別の器にお茶を移します。

蓋と杯の隙間から茶水だけを移す

烏龍茶の産地などでは、この使い方をすることが主流です。
この方法だと急須を使うのに比べて、茶殻を捨てるのもバサッとひっくり返すだけなので容易ですし、香りを弾きやすくストレートに表現できることから、香り高い烏龍茶などにも対応できます。
難点は、慣れるまで少し手が熱いことですが、どんなお茶にも対応できる淹れ方なので、慣れてしまうと非常に便利です。

この使用法をする場合、一般的な持ち方としては、親指と中指で蓋碗の縁を支えるようにし、人差し指を蓋のつまみ部分に掛けて、バランスを取りつつ蓋を僅かにずらします。
気をつけるべき点としては、お湯の量を多めにしすぎてしまうと、熱くなってしまうので、湯量を調整すること。
また、蓋がずれた部分から熱い蒸気が上がってくるので、手のひらなどに掛からないよう、持ち手のポジションを調整することです。

使用する蓋碗の選択も重要です。
できるだけ、小ぶりで軽く、薄手のものを使用した方が使いやすいと思います。
どうしても熱湯を注ぐことが多いため、高温になりがちですから、手に馴染む大きさだったり、軽さがあることが大切になります。
慣れれば大きいもの、重いものでも使いこなせるのですが。
また、杯の口の部分はストレートに上に伸びるのでは無く、外の方にわずかにカーブしているものの方が、熱を逃がしやすく、指で支える場所ができるのでオススメです。

中国の烏龍茶産地では、業務用の規格品として、110cc程度の容量のものが出回っています(受け皿が無いものもあります)。
プロも使うものなので使い勝手も比較的良く、業務用なので値段も手頃です。
初めて使用する際にはこのようなものを利用されると良いと思います。

白磁蓋碗

慣れてきたら、絵付けが綺麗なものも多いのが蓋碗の特徴なので、気に入った絵柄のものなどを探してみると良いでしょう。
好みの蓋碗で淹れると、気分も違うと思います。

蓋碗 寿桃

具体的な淹れ方としては、110cc程度の容量の蓋碗であれば、茶葉は3~5gぐらいが適量だと思います。
烏龍茶の産地などでは、7~8g入れますが、茶葉が蓋を突き破るのでは無いか?と思うぐらいモリモリになり、味わいもかなり濃くなりますので、日本人の方には上記の分量がちょうど良いのでは無いかと。

烏龍茶や黒茶、紅茶を淹れる場合は、一度、お湯を半分ぐらい注ぎ、少し待って予熱をします。
そのあとで、茶葉を投入し、熱湯を注ぐのですが、失敗を少なくする観点で行くと、半分程度のお湯を注ぎ、すぐにそのお湯を捨てるのも効果的です。
いわゆる、洗茶(せんちゃ)という方法です。
これによって、茶葉にある程度の水分を与えて、茶葉自体の予熱ができるため、次にお湯を注いだときに茶の成分の出が良くなります。

洗茶をして、一呼吸置いたら、再び熱湯を注ぎます。
中国茶の烏龍茶や紅茶、黒茶の場合は、蒸らし時間がさほど必要ありません。
通常のお茶であれば、20~30秒程度でサッと出してしまうと良いと思います。
長くても1分ぐらいにしておいて、あとは味を見て調整とすると、上手に淹れられるのではないかと思います。

全ての成分をティーポットに一気に抽出しようとすると、3分や5分のように長蒸らしになりますが、中国茶の場合は煎を重ねるのが前提です。
短い時間で抽出し、煎を重ねていきながら、煎ごとの味わいの違いを見るのが中国茶スタイルです。
当然、煎を重ねていけば、味わいが薄くなっていきますので、そのあたりは最初の時間に+10秒などの方法で、調整していきます。

急須を使う(烏龍茶、黒茶にオススメ)

ラストは急須を使う方法です。
急須には2種類あり、釉薬の掛かったものと素焼きのものです。
この2つは特性が違います。

釉薬の掛かった急須

釉薬の掛かった急須は、ガラス質でコーディングされている状態なので、香り移りなどもなく、何にでも使える急須です。
蓋碗同様、香りの弾きが良いので、香り高いお茶を淹れるのにも向いています。

使い方については、蓋碗とほぼ同様です。
茶葉の量は、急須の容量にもよるので一概には言えないのですが、茶葉が開ききったときに蓋に微かに触れるぐらいの量に収めるのが良いと思います。
また、口の大きさが使用しようとする茶葉のサイズに合っているかどうかを確認するようにしましょう。
※口の狭いものには武夷岩茶のようなガサッとした茶葉を入れるのには向きません。茶葉を折ると、そこから渋みや雑味が出やすくなります。

素焼きの急須

冒頭の写真のように、中国茶のイメージにもなっているのが、素焼きの急須(茶壺・ちゃこ/チャフー)です。
素焼きの急須は、急須の表面(肌)に微細な穴が空いており、良いものはお茶を淹れると、その微細な穴に茶葉の雑味部分が吸収されるなどして、味がまろやかになる、と言われています。
また、厚手の急須は保温性にも優れることから、味わいをしっかり出したいお茶にも向いています。
保温性を活かすためには、基本的には急須に満タンにお湯を注ぐ方が良いため、淹れる容量に合った急須を選びましょう。

実際、焙煎が強めのお茶など、蓋碗で淹れると若干雑味がある・・・と感じるお茶も、急須で淹れると非常にまろやかで美味しく感じられることがあり、まるでマジックのように感じられることもあります。
その一方で、香りも若干吸われてしまいますので、香りが命のお茶を淹れるのであれば注意すべき点です。

焙煎の効いたお茶と清らかなお茶を同じ急須を使うことに抵抗のある方もあり、お茶の種類ごとに急須を使い分ける愛好家の方も多いです。
また、長く使っていると、お茶の持つ油分などで急須の肌がツヤツヤとして、味わいが出てくるようになります。
このような状態を「急須が育つ」のように言うことがあり、急須にお茶を上から掛けたり、磨いたりすることを急須を育てる(養壺・ヤンフー)と言ったりします。

選び方としては、釉薬の掛かった急須と同様、口の大きさには注意する必要があります。
一般的に、丸っこい形をしたものは台湾の凍頂烏龍茶のような丸まったお茶に、平べったい形のものは武夷岩茶などに向いているように感じます。

お茶の淹れ方としては、釉薬の掛かった急須と同様ですが、厚手のものは保温力に優れ、上からお湯を掛けて温度を高め続けることもできるため、しっかりと熱を加えて味わいを出したいお茶を淹れる際に、特に向いていると思います。

美味しく入らないときの微調整

上記が大体のお茶の淹れ方なのですが、やってみると、上手く行かないこともあるでしょう。
その場合は、基本的には微調整をしていくことになります。
微調整の仕方は、大まかには以下のようなものがあります。

味が薄い、香りが弱い

・蒸らす時間を延ばしてみる、
・茶葉の量を増やしてみる
・お湯の温度を上げてみる
・器の予熱をしっかりやってみる

味が濃すぎる

・蒸らす時間を短くしてみる
・茶葉の量を減らしてみる

渋みや雑味が強い

・蒸らす時間を短くしてみる(茶葉量を増やして、時間を短くサラッと出すのも効果的)
・湯を注ぐとき、茶葉に直接当てないようにする(お湯を茶葉ではなく、蓋碗の肌に当てる等)

実際に手を動かしましょう

と、ここまでいろいろ書いてきましたが、やはり実際にやってみないと、なかなか分からないと思います。
お茶淹れは、サイエンスなので、実際に手を動かしながら、味を左右する要素を微調整しながら淹れてみて、味を確認するという練習をするのが一番だと思います。

どうしても上手く行かないときは、中国茶教室などに通ってみて、実際の淹れ方を見てもらって、指導してもらうのも手です。
自分だけでやっていると行き詰まってしまうこともあるので、他の方の淹れ方を見たり、他の方の淹れたお茶を味わうのはさまざまなヒントになると思います。

 

以上、本当にざっくりとしたものですが、中国茶の世界を歩いて行く上での参考にしていただければと思います。
とにかく楽しい世界なので、気軽に楽しみましょう(^^)

おしまい。

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あくまで、ざっくりとですが~

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