中国旅行

福建烏龍茶の旅2017(1)まずは上海、天山茶城へ

福建烏龍茶の二大産地、武夷山と安渓に行ってきました。
今回は「アポ無し・コネ無しで産地に行って、どこまでお茶に迫れるか?」が裏テーマだったので、フリーで旅したいお茶好きの方にも(多少は)参考にしていただけるのではないかと思います。

上海経由で武夷山へ

武夷山へのルートは色々あるのですが、当初は厦門航空で福州に飛び、そこから高速鉄道で武夷山。
そのあと泉州まで高速鉄道で出て、安渓へ。安渓から厦門に出て、厦門航空で成田へというルートを検討していました。
たぶん、通常時なら、これが最安値の出やすいルートだと思います。

ところが、たまたま中国東方航空のサイトで検索してみたら、上海経由武夷山の単純往復が諸税込み3万5千円弱で出ていました。
福州IN・厦門OUTとの差額が結構大きく、上海にも立ち寄って買い物できそうなので、こちらに決定。
乗り継ぎ便をうまく調整して、上海での日程を行きも帰りも半日確保しました。

武夷山-厦門の移動は、高速鉄道だと駅が武夷山の少し外れにあって面倒そうなので、楽旅中国のサイトで大幅割引の往復エアチケットを予約。
予約後、カードで決済できて、完了後にEチケットがメールで自動的に送られてきます。
座席指定などは、各航空会社のWebサイトで各自やらなければいけませんが、中国の国内線チケットもネットで全部完結できるなんて便利な時代になりました。

というわけで、中国東方航空MU272便、上海経由北京行きに搭乗。

中国東方航空、国際線では初搭乗です。
噂はいろいろ聞いていたのですが、今回の機材・A321は、少しくたびれた印象。

背もたれに体重をかけると、シートが勝手にリクライニングしていくという・・・(^^;)
この問題は私の席だけでは無いようで、前のお兄さんの席は強烈な ”勝手にリクライニング仕様” だったようです。
離陸時にCAさんにリクライニングを戻せと怒られていて、なんだか気の毒でしたw

もう1つ、噂に聞いていた機内食。

魚をチョイスしてみたところ、和食でした。
ただ、どうも塩味の加減というか、味付けが全般的に謎でした。美味しくない。。。
どうにか完食しましたが、日本発便でもこのクオリティー。なかなか稀有ですね・・・

あと、中国の航空会社はどこもそうなのですが、民航局の通達でフライトモードであっても飛行中は携帯電話端末が一切使用できません。
これは少々不便だなと思います。航空会社の問題ではないので、中国の規制が変わってくれると良いんですけど。

浦東から虹橋へ移動

成田空港の混雑のため、上海浦東空港へは少し遅れて到着。
ちょっと驚いたのが、沖止めでバスでターミナルへ案内だったところですね。
主要幹線である東京線で、そこそこ乗客もいたと思うんですが、このへんもコストの兼ね合いなのかもしれません(なにしろチケットが安いので)。

入国審査の列に並んでいる間に、中国用SIMの開通作業を。
中国聯通香港あるいは中国移動香港のSIMであれば、GoogleはもちろんTwitterやFacebookも使用できるので、便利です。
最近は、7日間のみ利用可能な使い捨て型SIMを日本のAmazonで事前に購入して使っています。

4G高速データ通信 中国本土31省と香港で7日利用可能 プリペイドSIM

中国聯通の方が使用するバンドに対応する機種が多い(※)ので、使い勝手が良いのではないかと。
中国移動は中国独自のバンドを使うので、日本国内で販売している端末だと上位機種でないと対応しないものが多い

浦東空港では、少し空気が変わってきたのかな、と感じることもありました。
それは熟年の方を中心とした観光ツアーと思われる日本人グループを、そこそこ見かけるようになったことです。
ちょっと前までは、明らかにお仕事ですね的なビジネスマンばかりだったので。
中国旅行も少し雪どけムードなのかもしれません。

さて、翌日の武夷山行きは虹橋空港からの出発なので、この日の宿は虹橋空港のそばに取りました。
荷物を持っての地下鉄移動は面倒だなと思ったので、虹橋行きのエアポートバスに乗車。

事前にチケットを買う必要は無く、乗るだけ乗って、後で集金人が集金に来るシステムです。
「荷物もトランクに入れられるし、これならラクチン♪」と思っていたのですが、上海名物の渋滞に捕まり、結局、浦東から虹橋まで2時間ぐらいかかりました。
私は翌日の便なので問題ありませんでしたが、入国審査の行列を考慮に入れると、浦東から虹橋の乗り継ぎは最低5時間あっても油断できないかも、と思います。
ギリギリの場合は、時間の読める地下鉄(予算に応じてリニア併用)で動いた方が良さそうです。

エアポートバスは虹橋空港第2ターミナルに到着するので、そこから地下鉄に1駅乗り、メルキュール上海虹橋エアポートへ。
周りには何もないですが、立地は第1ターミナル駅1番出口の目の前。通りを渡ったところにあるので、分かりやすくて良いと思います。
部屋も最低限の広さはあり、新しいホテルなので色々快適です。
荷物を部屋に置いて、早速出かけることにします。

天山茶城へ

地下鉄を乗り継いで2号線の婁山関路(娄山关路)駅へ。
そこから10分ほど歩けば、天山茶城です。

馴染みのお店を巡って、紅茶を中心にあれこれ購入。

これは祁門紅茶の写真ですが、左側が紅香螺で右側がオーソドックスなもの。
紅香螺は、まだ日本ではあまり知られていないようですが、新タイプの祁門紅茶で、その名の通り螺形(巻き貝状)に仕上げられています。

オーソドックスな祁門紅茶はカットされた形状のため、味わいも強めに出るのですが、紅香螺の方はカットされていないので、味わいは柔らかめ。
それでいて香りはハッキリした甘い香りがあるので、中国人好みの紅茶だなと思います。

このほか、宋種単叢の美味しいのも見つけたのですが、お値段は1斤5000元(500gで約9万円)とのこと。
単叢もこのへんのランクになってくると、香りが華やかとかそういうことではなくて、透明感とか余韻の勝負になってきます。
淡麗ながら茶気が強い、というタイプです。
こうした特徴は平地や低山で作られている茶園産のお茶では、どうやっても表現できないものです。
とはいえ、この手の特徴は、ある程度、お茶を飲んでいる人でないと価値が分かりづらく、そもそもの生産量が無いお茶なので、なかなか出回りません。

多分、次に行った時には無いと思うので、悩みつつも少しだけ購入しました。
上海にしては安い方だと思ったのですが、予定外の散財でしたw

茶城の紹介で悩むこと

さて、茶城の記事を書くとき、いつも悩むのがお店の紹介です。
茶城のようなたくさんのお店があるところほど、どこに入って良いのか分かりません。
ですので読まれている方は、「茶城こそ、お店の情報を教えて欲しい」と感じると思うのですが、これがなかなか難しいんです。

というのは、まず「言葉ができるかどうか?」というのが、第一関門としてあります。
コミュニケーションが上手く取れない人をお店にどんどん送り込んでしまうと、お店の方に負担がかかる、というのが1つ。

もう1つは、日本人のお茶の買い方(商習慣)を許容してもらえるかどうか、です。
日本人の方は、50gとか100gとかの少量で色々買いたいというニーズが強くあります。
また、お土産用なので綺麗なパッケージが欲しいという方も。
が、そもそも茶城は卸売り向けに発展してきたところなので、商いとして大口の商いを中心にしているお店が多いです。
飾り気のない袋に詰めて、1つのお茶につき「できれば1斤(500g)、せめて半斤(250g)は買ってよ」というお店の方が主流です。
なかにはハッキリと小口を迷惑がるお店もあります。そういうお店では、だいたい塩対応を取られますw

コミュニケーションを取るのも大変で、買ってもらっても小口で少額・・・という話になると、これはお店の負担になってしまうばかり。
なので、「自分で探してください」としか言いようが無かったのです。

が、そこは国際都市である上海のこと。
外国人、とりわけ日本人の対応に慣れているお店というのも、これまた存在しています。
ここ2年ほど、敢えてそういうところに飛び込んで、お茶の品質などを吟味していたのですが、割と納得できるお店が見つかったので、ご紹介したいと思います。
最初はこうしたお店で茶城での立ち振る舞いを学び、少しずつステップアップするのが良いかと。
#言葉ができて、1斤以上の単位で購入する方は、どこでも大丈夫だと思いますけど。

天山茶城・茶葉季節(茶叶季节)

天山茶城の正門をくぐって、正面左側にあるエスカレーターのある建物。
こちらの1階、入口から目の前に伸びる通路を真っ直ぐ進み、奥の方へ。

建物の真ん中辺を少しすぎた左手にあるお店が、茶葉季節(茶叶季节)さんです。
上海在住の方が良く訪れているお店ですので、駐在されていた方などは、よくご存じだと思います。

こちらは天山茶城の中でも、非常に稀有だと思いますが、日本人とみるや日本語で呼び込みを行うお店です(ここの向かいのお店も日本語可なので、この一角だけ独特です)。
元々、女性店長さんが日本人顧客を取り込もうと、最初は挨拶から始めて、日本語を一生懸命学んだそうです。
スタッフの方も、若い女性の方が中心で少し日本語を分かる方もおり、中国語が分からなくても、普通の買い物では困らないと思います。

小分けにパッケージ済のお土産向きな茶葉(烏龍茶、花茶や水果茶など)も展示されていて、日本のお客さんを意識した感じです。

茶葉の値段も明朗会計で、メジャーなお茶については、分かりやすい価格表が用意されています。

50g単位の値段なので、50gから遠慮無く注文可能です。
「茶城だから、量を買わなければならない・・・」という懸念は、ここのお店に関してはありません。

このお店、最初に訪問したときに「売れ筋は?」と聞くと「黒烏龍茶!」と答えるので、正直、苦笑せざるを得なかったのですが、これも一般的な日本人の中国茶リテラシーが低いから(中国茶の銘柄を知らなすぎるから)なので仕方がありません。
そういう、あまりお茶にこだわりの無い方に受けるようなお茶(お値段の安いジャスミン茶、プーアル茶、焙煎強めの鉄観音茶である黒烏龍茶など)をメインに展示しているので、残念なお店のように思われがちです。

が、こちらが良いお茶を探していることを伝えれば、きちんとそれに見合ったお茶を出してくれます。
価格表に載っていないものだったりしますが、きちんと値段を知らせてくれるので、そこは安心です。
何度か通って、好みのお茶などをスタッフの方が把握してくれれば、より的確なお茶を紹介してくれたりします。
たとえば、白茶の荒山茶のようなレアものもあったのですが、そういうお茶は入荷量も少ないので、すぐに売り切れるそうです。

このへんの品揃えの奥行きは、お店を一見しただけでは分かりません。
ですので、まあ、まずはお店のカウンターに座って、飲みながら話してみると良いと思います。
ラインナップでいうと(中国はどこもそうですが)台湾茶は基本的に安価なものは台式烏龍(大陸産の台湾風烏龍茶)ですし、良いものは台湾で買った方が品質が良く安いので、それ以外がオススメです。
オーナーは福建の方だそうなので、印象的には福建絡みのお茶は比較的強いような気がします。
もっとも、お値段のわりには「うーん?」と思うお茶もたまにあるので、そのへんは自分の感性でちゃんと選んだ方が良いと思います。
茶城はどこでもそうですけどね。

お店というのは、お客さんに応じて変わっていくものなので、美味しいお茶を求める日本人の方が多くやって来るようになれば、それに合わせて品揃えも変わっていくと思います。

スタッフの方もフレンドリーですし、中国語を使って話をするときも分かりやすい表現を使ってくれるので、中国語勉強中の方は自分の中国語が上手くなったように錯覚すると思いますw
観光ツアーで荒らされたようなぼったくり店でも無く、草の根で日本の方と繋がってきたようなお店なので、どこに行って良いか分からない方は、とりあえずここで様子を見ると良いのではないかと。

茶葉季節(茶叶季节)
住所:上海市長寧区中山西路520号 天山茶城1059-1060
電話:(021) 5253-1246 
http://www.tea-lvs.net/

天山茶城からの帰りは、婁山関路駅直結のビルに入っている小楊生煎で、季節のおすすめの生煎セットを注文。

3種類の生煎(エビとニラとオリジナル)が2個ずつにスープとドリンクが付きます。
天山茶城に来ると、ここで食べるパターンが定番化していますね(^^;)

続く。

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