昨年末に中国の国家職業資格から茶藝師が外れた、というニュースが流れました。
これを受けて、日本でも一部で、茶藝師資格が無くなった!と話題になったのですが・・・
一転して、国家職業資格に「復活」したようです。
ソース:人力資源社会保障部
リンク先は、中国で職業資格を扱っている省庁である、人力資源社会保障部です。
※第一報は、無我茶館さんのブログ で知りました。この件については、初期の頃から、かなり細かく情報を追っておられます。
ざっくりと内容を訳しますと、
<国家職業資格整理済リストの発表内容調整状況についての説明>
国務院の求めに応じ、2016年12月16日~22日、我が部では国家職業資格整理済リストを発表しました。各方面からの意見や提案、並びに関連する部門の意見を求めた結果、国家職業資格整理済リストの発表内容に調整が生じた状況は以下の通りです。
(一、三~五は茶業と関係ない資格なので省略)
二、技術者職業資格のうち、”健康に関する問い合わせサービススタッフ”に”健康管理師”を追加する。”人材に関するサービススタッフ”に”労働関係協調員”、”創業指導師”を追加する。”飲食サービススタッフ”に”茶藝師”を追加する。
追加した職業資格とその他の調整、実施機関などの問題については、我々は関連部門とさらに研究と論証を重ね、職業資格リストの発表後に調整を行います。
人力資源社会保障部
2017年2月21日
と、あります。
つまり、茶藝師資格が国家職業資格に、あっさり復活したようです。
茶藝師資格をお持ちの方、引き続き、国家職業資格なので、ご安心ください。
ニュースにあった違和感
この報道が出た時、少し違和感を覚えていました。
というのも、
1.現地の認定機関や業界の人たちが全く慌てていなかった
2.取り消しに至った経緯をずっと追っていたところ、釈然としない点があった
ためです。
1については、本来ならば向こうの先生方が大騒ぎしていたり、茶業界のニュースに大きく載るはずなのですが、全然出て来なかったのです。
一部、個人の方が「茶藝師資格が職業資格から無くなったね」ぐらいのことをブログのようなところで書いているぐらい。
※日本で情報が出回ったのは、どうもそういうところからのようです。
当初は日本国内で「資格は無効」のような情報が流れてしまい、茶藝師資格保有者の間で動揺が広がっていました。
そこで「資格は変わらず有効」という正確な情報発信をするべく、記述したのが 先のブログ記事です。
それを書くために政府機関のサイトを渡り歩いて情報を集めていましたが、そのときに、妙に引っかかったのが2の部分です。
まず、茶藝師の名前は取り消しされる資格リストに一度も掲載されたことが無いのです。
しかし、最終のリストからは漏れていました。
これはヘンです。
さらに、取り消し資格数の累計数値にも疑問を持ちました。
先のブログでは、
2014年 7月22日 第1弾。11の資格が取消
2014年 8月20日 第2弾。67の資格が取消
2015年 2月24日 第3弾。67の資格が取消
2015年 7月20日 第4弾。62の資格が取消
2016年 1月22日 第5弾。61の資格が取消
2016年 6月13日 第6弾。47の資格が取消
2016年12月16日 第7弾。114の資格が取消最終的に434の資格が取り消され、実に70.2%の資格が国家職業資格から外れました。
と書いたのですが、これが実はすごく「ヘン」でして。
第1弾から第7弾までの取り消し資格数を足すと、429にしかなりません。
国家職業資格は見直しをすると発表した時点で、618の資格がありました。
つまり、429/618なので、69.4%の削減となり、李克強首相の発表した「7割以上削減」という目標に届きません。
が、434の資格を削減すると、70.2%と7割超えが実現できます。
・・・アレ??(^^;)
ひょっとして数字つく(以下略
もし、そうだとすれば、完全に出来レースであった可能性がでてきます。
それなら、1にあったように、関連機関が落ち着き払っていたことも納得できてしまいます。
どこかのタイミングで、しれっと復活されたりするんじゃないか、と。
・・・ということに気づいたのですが、あくまで「憶測」なので、記事には書けませんでした。
そこで、文末に
将来、何が起こるか分かりません。
と、密かに予防線を張りましたw
ですので、個人的には、
ああ、やっぱりねーーー
という感想です。
中国のやることはよく分からん、という方もいますが、それは日本の常識・思考パターンで考えるからです。
彼らの思考パターンをきちんと掴めば、これほど分かりやすい国もありません。
新しい認定機関はまだ未定
というわけで、どうやら復活となった茶藝師資格ですが、所轄する認定機関などは、まだ調整中のようです。
むしろ、ここの方が様々な省庁間・業界の利権争いがありそうなので、個人的にはこちらの方が関心があります。
今回のリリースにも、まだ調整が必要ということになっているので、まだ決着がついていないようです。
以上は、2017年2月23日現在の情報でした。
いずれにしても国家職業資格の看板は残ることになったので、「国家資格じゃないなら、やめようか・・・」と思っていた方も、再考してもよいかもしれません。
多分、職業資格でなくなっていたら、認定団体が乱立し、流派ごとに好き勝手なことを言う、混乱した茶藝師の世界になっていたと思います。
茶藝師の資格をお持ちの方は気が休まらなかったと思いますが、今回の結論は、これで良かったのではないかと思います。
これまた中国らしい話でした(^^;)
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