また、すっかり間が開いてしまいました。
いつの間にか、11月が終わろうとしていますね。。。
さて、今月からスタートした「標準」を読む、第4弾「烏龍茶の標準」のレポートです。
メジャーな茶種だけに難しさが
これまで「標準を読む」では、緑茶や白茶・黄茶といった、日本では比較的人気薄で、情報も少なめのお茶を取り扱ってきました。
が、烏龍茶となると話が全然違ってきます。正直、これまでに無い緊張感がありました。
まず、烏龍茶は、日本の方に人気の茶種です。
長く飲んでこられた方も多く、良いお茶を飲んだ経験も豊富でしょうから、当日飲むお茶も生半可なお茶では納得していただけそうにありません。
さらに、いろいろな知識や情報を、様々なルートで聞いておられる方も多いことでしょう。
なかには「武夷山には何回も行っている」のような方もいらっしゃるので、そういう方を前にして「いまさら、何を語れるのか?」と思ったりもします。
が、よくよく考えてみると、普通に出回っている情報や知識というのは、真偽不明な伝説の類いだったり(特に岩茶などで顕著)、「それ、10年以上前の話ですよ」的な、現状と著しく乖離した話だったりします。
なにより、お茶そのもののよりも、その周辺の逸話の方が多いような気がしていました。
例えば、大紅袍の逸話、命名の由来などに詳しくても、お茶を買うときや淹れるときには、何の役にも立ちません。
「その知識、蘊蓄として披露するのには良いかもしれないけど、お茶を選んだり、飲んだりするのに何の役にも立たないですよね?」的な印象があります。
というわけで、今回の話は、標準だったり科学的な面にきちんと立脚して、烏龍茶を語るとどうなるか?をメインに置いています。
買ったり飲んだりすることに直結する知識が中心といいましょうか。
基本的に「標準を読む」で扱っているのは、そういう話題です。
また、今年の9月に公布されたばかりの国家標準を盛り込んだり、武夷の「全肉宴」など、最新情報をできるだけ織り込むようにしました。
これらの最新情報はいろいろなところから得てはいたのですが、やはり現地できちんと確認してきた方が良いだろう・・・と、月初には武夷山と安渓へ出かけてきました(旅行記は明日から更新予定です)。
その旅の最中、いろいろな手段を駆使して集めたお茶が、幸いなことになかなかのクオリティーだったので、お茶の方の問題もどうにかクリア。
テイスティングのやり方についても、現地でお手ごろ価格の蓋碗を大量購入できたので、こちらもクリア。
で、火曜日に帰国後、レジュメを仕上げて、投影用のスライドを作り・・・とやっていたら、あっという間に初回の日曜日でした。
烏龍茶の全体像と三大ブランドを
と、そんな経緯で始まったセミナー「烏龍茶の標準」です。
話の構成的には割とシンプルです。
まず、大陸での烏龍茶の定義や国家標準のざっくりとした中身をお話ししています。
あわせて、「烏龍茶であれば、大陸あるいは台湾を問わず、どこの産地でも基本的な枠組みは一緒よね」というお話も。
発酵と焙煎という製法の基本と品種、産地、季節、地域の風土など様々な要因が、お茶の香りや味に影響を与えていることなどを整理しています。
これが整理できていないと、茶名の前後に付いている、漢字の羅列に振り回されてしまうので。
で、この後は安渓鉄観音、武夷岩茶、鳳凰単叢の三大ブランドの代表格のお茶2種を試飲し、それぞれのお茶の説明をしています。
試飲は、烏龍茶の現地スタイルでの審評形式(蓋碗で3煎)を説明しつつ、それを模したやり方で飲んでいただいています。
「模した」やり方にしているのは、本当に審評のやり方で飲むと、濃すぎて美味しくないと感じることも多いからですw
お茶を飲んでいただきながら、『標準』に基づくお茶の定義や製法を紹介しつつ、先に紹介した烏龍茶の枠組みに沿って、ポイントを解説。
さらに、最近のトピックス・流行だったり、誤解されて伝わっていることの訂正(大紅袍母樹の話とか)をしています。
突っ込んだお話をしたいので、ありがちな「単叢とは1本の木のことで・・・」みたいな話は、ざっくり割愛しています。
全体像の説明や質疑応答など諸々で30分。残りの時間を各お茶に30分ずつ配分するぐらいのイメージでやっているのですが・・・
それぞれ、本当にじっくり話そうと思えば2時間以上かかるものなので、かなり駆け足&凝縮して、何とか時間通りに終えています。
レジュメも40ページあり、凝縮感という点ではシリーズNo.1の回かもしれません。
試飲のお茶は、清香型と濃香型の安渓鉄観音、武夷肉桂と武夷水仙、鳳凰単叢蜜蘭香と桂花香と、非常にオーソドックスなラインナップです。
茶名だけを見てもあまり惹かれないかもしれません(^^;)
とはいえ、それぞれ特徴が明確に出ているお茶なので、岩茶(肉桂と水仙、それぞれにファンがいます)や単叢(特に桂花香。笑っちゃうぐらい桂花です)などは、とくに好評です。
煎が効くお茶ばかりなので、セミナー終了後、しばらく飲んでいかれる方もいらっしゃいますw
※東京の午後の部のみ、会場の時間に余裕があるので居残り歓迎です。
12月も開催。1月には集中講座、地方開催も
というわけで、台湾茶に直接言及しないという珍しい烏龍茶セミナーなのですが、東京では12月上旬にあと3回開催します。
12月の日程はこちら。
また、「最近になって、このセミナーを知ったのだが、もう第1回はやらないのか?」「第3回を受講しそびれた」などのお声もありますので、年明けに東京で集中形式の講座をやります。
2日間で第1回~第4回まで、受講いただけます。通し参加でも、どこか1回のみの参加も歓迎です。
このシリーズは、「中国茶は発酵度の違いによって6つに分類される」のような誤解がなくなるまで、しつこくやり続けたいと思いますw
第1回から順番に受けていくのが一番分かりやすいと思いますが、都度、参加いただいても大丈夫な構成にしていますので、日程が合う&興味のあるところでぜひご参加ください。
また、東京以外での開催ですが、名古屋(1月20日)、京都(2月3日)の開催がまず決定しています。
この2会場は、第3回と第4回をあわせて同じ日に開催します。
このほか、広島、札幌、大阪(第1回から開講予定)については、後日日程をご案内します。
レジュメも中国茶のセミナーにしては分厚く、内容は割と硬派だと思います。
が、講師は10分以上笑いが起きないと不安になってしまう体質なので、雰囲気はかなりゆるめです。
自然と参加者の方同士で交流されていたり、その点ではとてもライトな感じの勉強会なので、初めての方もお気軽にお越しくださいませ(^^)
※なお、第5回の紅茶は、東京で1月27日よりスタート予定です。
来年も、あちこちに行きますよ♪
○お詫びと訂正&補足
一部の回の質疑応答で、十分にお答えできなかったことがありましたので、ここでお詫びと訂正&補足を。
・単叢の抽湿法について
私が考え違いをしていて、難しい製法のように紹介してしまいましたが、本来は極めてシンプルなものでした。
抽湿法→除湿法と言い換えると分かりやすいと思うのですが、乾燥工程を乾燥機(高温になる)ではなく、除湿機(温度が上がらない)を置いた部屋(もしくは密閉した空間)で行うものです。乾燥工程で加熱されない分、青い状態のフレッシュな茶葉に仕上がります。
ただし、乾燥程度は乾燥機にかけるものよりは甘くなりがちなので、冷凍庫に保存するものと思われます。
設備的には、それほど大きな投資が必要なくても可能なので、一気に広まっていると考えられます。
・外安渓と内安渓の区分
いくつか説があったうち、県内を3分割する場合のものを紹介しましたが、内・外の2分割で考える見解もありますので、そちらも紹介しておきます。
あるきち様、こんにちは。
来年1月の名古屋開催の「標準を読む」に参加申し込みいたします。
よろしくお願いいたします。
手続きの仕方がありましたら、お知らせください。
上原美智代さま
こんにちは。
ご参加のお申し込み、ありがとうございます(^^)
お手数ですが、以下のURLにお申し込みフォームがありますので、そちらからお手続きいただければと思います。
第3回:https://www.teamedia.co.jp/events/china-standard-3-nagoya-180120-pm/
第4回:https://www.teamedia.co.jp/events/china-standard-4-nagoya-180120-pm/
どうぞよろしくお願いいたします!