中国旅行

福建烏龍茶の旅2017(15)安渓の中国茶都

中国茶都へ

茶葉大観園を見た後、山を下りて、元の歩道橋のある交差点のところまで戻ってくると、バス停を発見。

こちらの婦幼保健院のバス停から、6路のバスに乗ります。

10分ほどで、茶都広場バス停に到着しました。

中国茶都

中国茶都は、安渓各地から茶葉が集まる交易市場です。
全体の平面図がないかと探していたら、避難場所の図面があったので、パチリと。

左側の入口のあたりが、茶都広場バス停。一番右側の恒興車站というのが、茶都車站バス停。
真ん中は駐車場になりつつも、公道のようになっており、車はビュンビュン飛ばしていきます。

ここのメインになっている施設が、図面の上にある四角い中庭のない建物。

建物の正面にある階段を上がって2階に出てみると、こんな風景が。

茶農家の方たちが荒茶を持ち込んで、問屋さんに買ってもらう交易市場になっています。
一応、こちらのエリアは鉄観音の販売エリアということになっているのですが、今は比較的量が少ない時期なので、全部まとまっているみたいです。
反対側は色種のエリアなんですが、こんな感じで閑散としていました。

色種ってのは、鉄観音以外の品種で作ったお茶のことですね。
本山とか毛蟹とか、梅占とか、そういう品種は良品の一部を除き、まとめてブレンドして売られることが多いので。

その周囲や2階には、お茶の問屋さんが並んでいます。
お店の前では、おばあちゃんから子供まで家族総動員で、お茶の茎取りを行っています。

問屋さんの仕事は、荒茶を農家から購入(※)し、その精製とブレンドを行って製品茶にし、販売することです。
お茶を右から左へ流すだけでマージンを取るのではなく、専門知識と技術・労力を投入することで、より美味しく、味わいが安定するという付加価値を生み出し、その分の対価を乗せて販売しています。
中国茶都は、その流れを円滑にするための交易市場であり、安渓鉄観音のバイヤーさんは中国全土、いや世界各地から、ここを目指してやって来ます。
大都市にある茶城とは、全く違った役割をもった場所です。
※ここに持ち込まれる茶葉だけでなく、良い品質のものは市場を通さず農家直で取引して入手するそうです。良いものは流れてきませんので。

産地直結の場所なので、ここの問屋さんで売っているお値段は、やはり安いと思います。
個人的な感覚では、厦門の街中の茶荘と比べると、同じ価格でも2ランクぐらい上のものが買える印象です。
上海の茶城や街中の販売店と比較すると、その差はもっと広がります。
まあ、プロが切った張ったしている場所なので、ちゃんとしたものを適正な価格で買えれば・・・の話なんですが。

交易市場の反対側にも、そっくりな建物があります。

こちらには宿泊施設などもあります。
シーズンには、泊まりがけで来ているバイヤーさんもいるんでしょうね。

この中や裏側、両側にはズラッと問屋さんが並んでいます。
品揃えも基本的には鉄観音なので、どこに入って良いのか迷うと思います。
規模だけで見ると大都市の茶城の方が大きいところもありますが、ほぼ単一のお茶でこれだけの軒数というのは、ちょっと異質です。
みんな取扱商品が一緒なので、大都市の茶城で慣れている人でも、ここはそう簡単ではありません。

中国茶都の問屋さんにて

11年前に訪問したお店を再訪しようと思ったのですが、そのお店が元々あった場所には、今は別のお店が入っています。時代の流れですね。
店名で中国のネットを検索すると、どうやら通訳してくれたお嬢さんが後を継いだらしい?ようでした。
その住所を探して、茶都の中を30分近くウロウロしましたが、該当する住所は遂に見つかりませんでした。
このご縁は途切れたと思うことにします。

仕方がないので、新規開拓です。
茶城でもそうなんですが、基本的に面倒臭そうな対応をしそうなおじさんがいる店とか、忙しそうなお店は避けています。
特に茶都では「茎取りで大忙しなんです」的な問屋さんが多いので、そこを外していくと、案外、入れるお店は限られます。

そんななか、比較的年齢が若めの老板が外に出ていたお店を発見。
お茶関連の人にしては、わりと知的な感じがしたので、おそらくここだな、と思って突撃しました。
いかにも叩き上げの人だと訛りが強くて、話がほとんど通じないことがあるので。
見た目の第一印象は、お互いに重要です。

にこやかに近づき、「鉄観音見せて」と当たり前のことを言いまして、お店に入っていきます。

お店に入ってみたら、高級評茶員の証書が飾られていました。
あ、これは勘が当たった気がする・・・

どんなのを飲ませようか、ということで、清香のを希望したんですが、あまりにも色々なロットがありすぎて、ちょっと悩んでいたようです。
そこで、よりスムーズに話ができるように、予算を指定しました。
「○○元ぐらいのお茶を買いたい」と。

上海だと、まあ一般的な鉄観音が出てくる価格帯ながら、ここでは”それなりに良いお茶を探しているんだな”と思われそうな価格を提示しました。
相場観があるというのは現地で買う上では大変重要です。
価格を提示したことで、先方も大体了解したようです。
変な値段or品質のお茶は出て来ないので、飲ませる方も飲む方も安心です。

老板に、安渓のどこ出身?と聞いたら、西坪とのこと。
鉄観音の原産地だね、というと、ああ、知ってるんだね、と共通理解が。

最初に飲ませてもらったのは、バチンとものすごく甘い香りの立つお茶でした。今年の秋茶だそうです。
非常にインパクトがあって、おおっ!鉄観音!という感じだったのですが、次々に違うロットを出してきます。
その後のロットは、香りのインパクトはさほどでも無いのですが、茶水にはより透明感があり、より甘くなっていく感じです。
蓋碗の蓋で香りを取らせてもらうと、少しずつ、香りのパターンも違っています。
今、飲ませてもらっているのは、祥華の鉄観音とのこと。伝統的な製法で発酵させたものだ、と。

最初に飲んだのは標高の低いところのものだったようです。
確かに最初の香りのパンチは強烈でしたが、煎を重ねると、味と香りが一気に抜けました。
むしろ、雑味の方が目立ってくる感じ。
標高がお茶の味わいに影響するのは台湾の高山茶だけではありません。
そして、標高だけで品質を語れないのも同じです。
数煎飲まないと烏龍茶の真価は分かりません。

色々、説明をしてくれるのですが、評茶員のプログラムを経験しているからか、説明がいちいち論理的で的確です。
評茶員の勉強が共通言語になっているので、理解しやすいですね(私、現地では絶対に「評茶員持っている」とは言いませんが)。

6種類ほど飲んで、清香型の購入するロットは決めました。

続いて、焙煎強めの濃香型を飲ませてもらうことにしました。
こちらは、今年の春茶で、同じく祥華のものだとのこと。
数種類のロットを飲ませてもらいましたが、やはり甘みが強くでているので、こちらの方が日本人には受けるんだろうな、と思いました。
焙煎は、炭火焙煎とのことです。
同じくらいのグレードを選びましたが、お値段は手間の分か、こちらの方がちょっとお高めです。
写真で行くと手前2つが清香、奥の2つが濃香です。茶殻から見ても明らかに違いますね。

こちらも数種類飲んで、購入ロットを確定。
注文すると、何も言わずとも7g単位でパッキングをしてもらいます。
サンプルと包装するお茶の付け合わせもしてくれて、良心的でした。

そのあと、こんなのもあるよ、と樹齢3年の新叢の鉄観音が出てきました。
あ、これは値段が全然違うヤツですね。商談が終わった後に、もっとスゴい、とっておきのお茶を見せてくるのは良くあるパターン。
これはさすがに美味しいです。
香りの残り方が非常にはっきりしていて、現地の表現をそのまま使うと、歯の周りに香りがずっと残る感じ。良いお茶の特徴ですね。
日本のお茶が分かる人に飲ませて欲しい、と少しサンプルでもらいました。

 

それにしても、安渓で飲む鉄観音は、何でこんなに美味しいんですかね。
清香型の鉄観音が苦手という人は、一度安渓で飲むと良いのに、と思います。
鮮度の問題もあるでしょうし、日本や上海などでは、気軽に買えないようなグレードのを飲めるからなのかもしれませんが。

 

全くの飛び込みで入ったお店でしたが、非常に良いお店に当たったようです。
一つのご縁が途切れたかと思えば、新しいご縁が出来る。これも茶縁ですね。
こちらもそれなりの対応ができたことも影響しているとは思います。
11年前だと、こうはいかなかったですね。
”現地で騙されずにお茶を買う”を目標に少しずつ勉強してきたので、やっぱり積み重ねです。
だてに多額の授業料を払っていませんw

リピートの意思をさらにハッキリさせるために、「いつ頃来るのが良いのか?」と聞くと、今年は少し寒くなるのが遅れたので、この時期は仕上げの工程も考えると、ちょうど良かった、と。
良いお店を掴んだと思ったら、離さないのが大事なので、毎年11月初めぐらいに定例訪問するようにしようかな、と思います。
「また来るよ」と言う客は、たくさんいますが実際に戻ってくる人は少ないですから。行動で示さないと、です。
産地で買おうとするなら、小手先のテクニックだけでは、どうにもなりません。こちらも誠意が必要です。

茶都車站は閉鎖・移転していた

日帰りなので、厦門に戻らなければなりません。
「茶都車站からすぐにバスに乗れるし」と思い、中国茶都の反対側の入口にある、茶都車站に行ってみたのですが、どうも様子がヘンです。
人も全然いないし、なにより切符売場も時刻表もなければ、バスが来てません。
なんだか、整備場のようになってしまっています。

どういうこと??

と思っていたら、バイクタクシーのおじさんが声をかけてきました。
何してんだ?と。

「バスで厦門に帰りたいんだけど」

と言うと、

「ここはもう無くなったよ」

という衝撃の答えが・・・

仕方がないので、それなら総站まで乗せていってくれ、と話をしました。
言い値は20元でしたが、距離を考えると、まあそんなもんだろうと。
乗せてもらいながら、いつ無くなったの?と聞くと、もう1年ぐらいになるよ、とのこと。

市内を抜けて、総站へ戻る途中に街中で真新しいバスターミナルらしき建物を見かけました。
これが、どうやら新しいバスターミナル・恒興新車站だったようです。
茶都車站は閉鎖されて、街中のこちらに移転したんですね。
総站より茶都に近いので、本来はここを目指した方が便利だったんです。

・・・が、このときはそんなことは知る由もなく。

バイタクで15分ほどかけて、茶都から総站に戻ってきました。
窓口で切符を買います。帰りも30元でした。

バスの搭乗口には、ICの読み取り装置があり、身分証をそれで自動チェックしてもらえるのですが、外国人は対応不可です。
係員の人にパスポートを見せて、別のカードで改札を開けてもらいます。
中国、色々進化しているけれど、外国人には優しくないシステムが多くなってきてますね。

帰りは途中までは順調でしたが、アモイ島に入る手前で渋滞に巻き込まれました。
結局、帰りは2時間少々かかりました。
早めに切り上げてきて良かったです。
朝、もう少し早いバスに乗っていたら、もうちょっとゆっくり出来たかも。

 

というわけで、安渓の県城や中国茶都は厦門から、そんなに難しくなく日帰りできます。
バスなどは、2017年11月現在の情報なので、ネット上の日本語情報としては最新情報ではないかと。

茶都に行けばお茶は割とリーズナブルに買えますし、取引市場の様子というのは一見の価値があるかもと思います。
築地市場に外国人が来るようなものですので。

ただ、茶園を見たいとなると、安渓の県城では難しそうです。
いちばん手軽に茶園が見られるのは、土楼に行くことでしょうか。
土楼は安渓ではありませんが、鉄観音などのお茶を作っている茶産地であることが多いので。
茶業は、福建の南の方(閩南)の主力産業ですから。
土楼などがあれば、現地の人も観光客慣れしてますし、土楼や近隣のホテルなどに泊まったりすれば、より身近にお茶を感じられることでしょう。

安渓の茶園にこだわるのであれば、感徳や祥華、西坪といったあたりに行くことになると思います。
が、現地での交通手段をどう確保するかと現地のつてが課題になります。フリーでは少し難しいでしょう。
さらに、地方に行けば行くほど人は純朴になりますが、反面、党の影響力は強くなるので、そこの兼ね合いも少し心配です。
観光客が来ないような地域では、少し変な動きをしたら、外国人慣れしていない妙に気負った公安を呼ばれて、一悶着・・・なんて可能性も否定できません。
その点では、 安渓の県城はそこそこ往来も多いので、大丈夫ではないかと思います。

もっとも、田舎に行くなら、ある程度、言葉が出来る人を連れて行った方が良いかなあと思います。
中国は国の体制が違う国なので、色々面倒なことに巻き込まれることもあります。無理は禁物です。

 

続く。

 

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コメント

  • コメント (2)

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    • 龍心
    • 2017年 12月 28日

    安渓之行、拝見させていただきました。交通インフラもそして安渓市街地もだいぶ変貌を遂げていますね!
    台北でも「安渓」の名前を冠して鐵観音を販売しているところもありますが、本家本元の安渓ではいろいろ試すことによってまた味覚経験値も上がると思います。
    途中書かれていらっしゃった、誠意をみせること、同じお店にまた翌日いくと本当に歓待してくれるよと生前の邱永漢先生に教えていただきました。本質的理解を求めようとする姿勢は最終的には人間対人間の御縁や魂のぶつかり合いだと思っております。
    こちらも香港で仕入れた馴染みの茶莊の春茶王鐵観音を淹れています。
    こうしたフィールドワークは何よりも茶葉理解には重要ですね!頭の下がる思いです!多謝!

      • arukichi
      • 2017年 12月 29日

      龍心さんへ
      コメントありがとうございます。
      最近は中国の茶業界の方が拡大局面だからか、しっかりとした投資や研究を行っているように感じます。
      安渓では品質を低下させるからと禁止になった揉捻機が、人手不足の台湾に流れ、品質低下を巻き起こすなど、今までの常識とは逆のことも起きて来ています。
      やっぱり、事件は現場で起こっていますね(^^;)

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