天福のサービスエリアは既に楽山市。
峨眉山市は、この楽山市の下にある県級市です。
峨眉山風景区の中の工場へ
高速を少し走って、一般道に降ります。
峨眉山の風景区の入口のところまで行き、そこで手続きをして中に入ります。
今回は峨眉山の風景区は見ている時間が無いのですが、これから行く茶葉工場が風景区の中にあるので、無料で入れるように工場の方で手配していたようです。
風景区の門をくぐると、山が険しくなっていきます。
ゴツッとした岩肌が見えています。
メインの通りから一本入り、さらに山の奥へ。
ここからもう少しのぼらなければ行けないのですが、バスはここでストップ。
運転手さんによると、「坂道が急すぎて、バスの後部バンパーが地面に当たってしまう」とのことで、ここからは徒歩で上っていきます。
横断幕や抗議文があちこちに貼られていて、んー、どうやら強制的な取り壊しとかで揉めてるようですね。中国あるある。
横断幕などは若干物騒な気配もありますが、あたりは森に囲まれた茶畑。
花も咲いていて、景色はまさに桃源郷ですね。
7~8分ほど歩いて、目的地に到着。
峨眉雪芽茶業の黒水有機茶基地です。
山の上の綺麗な建物でした。
峨眉雪芽は、峨眉山の中でも竹葉青と並ぶ名茶として著名なものです。
竹葉青は現在、竹葉青茶業の登録商標になっていますが、峨眉雪芽も同じような感じ。
両者は峨眉山市のツートップ的な茶業さんです(若干、竹葉青の方がワントップ気味ですが)。
まずは工場見学
工場に着くと、エントランスのところにスタッフの方が。
やあやあ、ようこそということで、まずは工場を見学しましょうね、と。
入口のロビーのところで、まずは2分ほどのイメージビデオを見ます。
テーマパークのアトラクションの始まりのようだ、と思ったのですが、その印象は間違っておらず。
このあと、工場内を見学コースに沿って歩きます。
左手の壁には、この会社の茶園と工場がいかに環境の良いところであるかをパネルで紹介しています。
「波尓多」という字が見えますが、これは「ボルドー」ですね。
ここは、四川のお茶の中のボルドーだと言っています。
で、右側には製茶機械が並んでいて、実際にここで製茶をしているそうです。
摘まれてきた茶葉は、まずこちらの機械の上に並べて、攤青(たんせい。他の産地では攤放とも)をします。
水分を調整しつつ、青みを抜く工程です。これを数時間やってから、次に殺青です。中国緑茶、摘んだらすぐに殺青するわけではないのです。
殺青機はこちら。
何だこれは?と思ったら、微波(マイクロ波)殺青機だそうです。
簡単に言えば、電子レンジの原理で殺青を行う機械です。
釜炒りで殺青をするのは、効率がよろしくないので、これに置き換わってきているようです。
まあ、これで作ると効率は確かに良いのですが、中国緑茶の釜炒りによる独特の香ばしさはなくなるので、そこをどう考えるか、ですね。
釜炒りの機械も沢山並んでいて、これで成形を行っていくそうです。
乾燥機もありました。
この機械、日本製でした。
「我が社では品質を重視しているので、日本製の機械を導入しています」と胸を張られたのですが、日本人的にはあまり見ても嬉しくはないですね(^^;)
いずれにしても、非常に工場のラインは綺麗です。
中国の都市の人の中には「地方というのは衛生観念が違いすぎて、大丈夫なのか?」ということに不安を覚える方もいるので、そういう方が見ても納得するぐらいのピカピカの工場になっているようです。
働いているスタッフの方も、真新しいユニフォームを着てテキパキと作業しているので、安心感があります。
同社の製品ラインナップはこんな感じ。
緑茶が中心のようですが、花茶や紅茶も作っているほか、茶外茶のラインナップも。
グレードも高級グレードから一般向けのものまで色々あるようです。
面白いのは、この会社の親会社は旅行会社であるというところですね。
成都には「成都峨眉雪芽大酒店」というホテルがあるのですが、そのホテルはこの会社のグループが経営しているとのこと。
旅行会社が親会社なので、このような茶旅の受け入れは得意分野のようです。
茶摘み体験
工場見学を終えると、小さな籠と笠を用意したスタッフの方々が待ち構えていました。
これから茶摘み体験をし、その茶摘みした茶葉で製茶の実演をしてくれるそうです。
茶摘みをするのはこちらの茶園。
こちらは有機茶園ということで、生態系はそのまま維持されています。
いきおい、茶園の中には蜘蛛がいたり虫がいたりするのですが、虫を誘導するライトなどを用意していて、それで効率良く駆除を行っているようです。
一応、峨眉雪芽グレードを目指して、芽の部分を摘んでいきます。
とはいえ、すでに何度か茶摘みを行った茶園なので、芽はまばらにしかありません。
詰めるような芽を探すのだけでも、まずは一苦労です。
最初のうちは、参加者のみなさんも一塊状態だったのですが、摘み頃の芽を求めて茶園の中に散っていきました。
なにしろ、かなり小さな芽を摘むので、籠はなかなか一杯になりません。
結構、摘んだかなーと思って籠の中を見てみるとこんな感じです。
摘めども
摘めども、猶わが籠一杯にならざり
ぢっと手を見る
・・・と、思わず啄木モードに入ってしまうぐらい、全然一杯になりません。
「こんな小さな芽ばかり摘むんだから、中国緑茶は高くても仕方ないわー」と思いました(←業者の思うつぼ)
バスの運転手さんも含めて30分ほど茶摘みをしまして、どうにか製茶できる量が集まったので、製茶の見学に入ります。
それにしても、かなりの量を摘みまくっていた運転手さん。一番ノリノリだったかもしれませんw
製茶実演
建物の軒先に電気釜を持ってきて、店長さんが製茶実演をしてくれました。
まず最初に念入りにやっていたのが、茶葉の篩い分け。
運転手さんが摘みまくったのはかなり大きな葉っぱばかりだったので、それらはもれなくふるい落とされていましたw
大きな葉っぱや切れてしまった葉っぱなどをきちんと選り分けないと焦げたりしてしまうので、この工程が非常に大切なようです。
まずは殺青を行ってから、揉捻します。
揉捻してから、また釜で乾燥を進めていきます。
さらに取りだして揉捻して、また乾燥。
店長さん、手際が鮮やか。「子供の頃からやっているからね」と。
綺麗なスーツを着ていますが、元々は農家さんだったそうで、茶旅でこういう仕事が増えたりするんだなー、と。
出来上がったお茶は、冷ました後に分けてもらいました。
釜炒りらしい香ばしさがあり、ちゃんと釜炒りで作ったお茶は、やはり美味しいです。
高原のリゾートホテルのレストランのような販売コーナー
十分にお茶の体験はしたので、これからはお買い物。
試飲コーナーの机などは、ガラス張りの窓に面していて、高原のリゾートホテルのレストランかと思うような雰囲気。
パッケージにはしっかりパンダが入っています。さすが四川省。
なお、この会社では全てのお茶を同社のパッケージに入れた状態で販売しており、大袋の量り売り(散茶)の販売はしていない、とのことでした。
散茶で販売していたら、それはウチのものではありません、と張り紙が出ていました。
ブランドを維持する、という観点から、このようにしているようです。
飲ませてもらったのは、こちらの毛峰。ただ、これは去年のものだそうです。
現在新茶であるのは、看板ブランドである峨眉雪芽のみ。
峨眉雪芽は同社の最も高級なブランドなので、一番茶を使って作ります。
いまはまだ一番茶しか出ていないので、これしか無い、ということのようです。
毛峰などの価格の安いものは、もう少し後の時期に出てくるみたいです。
紅茶も飲ませてもらいました。
んー、こちらは発酵の技術的に今ひとつかな?と思いました。
温度をかなり低く抑えて淹れないと、気難しいタイプのようです。中国紅茶らしく甘みは凄いんですけど。
商品があまりない状態だったり、在庫が出ていなかったりもあり、さらに参加者が全員お茶を買うとなると、なかなかお店の方でも対応できない感じに。
結局、17時の閉店時間を少し過ぎたぐらいに全てのお会計が終わり、バスへ戻ります。
この後、峨眉山市内のホテルで夕食をとり、少し街を散策して、この日は終了。
充実はしていたのですが、やはり四川省は広いので移動も長く、なかなかハードな旅になりそうな予感です。
続く。
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